はやし会計 茨城県の税理士・社労士 土浦市 つくば市  

林税理士社労士事務所は中小企業の税務会計・労務をトータルで解決するワンストップ事務所です。

TEL.029-886-4388

〒300-0835茨城県土浦市大岩田931-13

中小企業診断士が教える 強い会社をつくる経営戦略マーケティング② SWOT分析は「書いて終わり」では意味がない ~強み×機会から、売上を伸ばす具体策をつくる~

中小企業診断士が教える 強い会社をつくる経営戦略マーケティング② SWOT分析は「書いて終わり」では意味がない ~強み×機会から、売上を伸ばす具体策をつくる~

このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

SWOT分析は、経営戦略で最もよく使われる分析手法の一つです。

しかし、実際の経営支援では、

「強み・弱み・機会・脅威を書き出して、きれいな表を作って終わり」

になっているケースも少なくありません。

SWOT分析の本当の目的は、会社を分析することではありません。

「では、明日から何をするのか」を決めることです。

特に中小企業では、限られた人員・資金・時間をどこへ集中させるかを決めるために使います。


1.SWOT分析とは

SWOTでは、会社の状況を4つに分けます。

分類 意味 具体例
S:Strength 自社の強み 技術、資格、人材、顧客基盤
W:Weakness 自社の弱み 人手不足、営業力不足、属人化
O:Opportunity 外部の機会 市場拡大、法改正、補助金、需要増
T:Threat 外部の脅威 競合、人口減少、物価高、人材不足

ここで大切なのは、S・Wは会社の中、O・Tは会社の外という区別です。

例えば「人手不足」。自社だけ採用できていないのであれば**弱み(W)ですが、業界全体で人材が不足しているのであれば脅威(T)**でもあります。


2.SWOTは「クロス」して初めて戦略になる

4項目を書いただけでは、会社の健康診断をしただけです。

次に行うのがクロスSWOT分析です。

        外部環境

       機会 O      脅威 T

強みS   SO戦略     ST戦略

弱みW   WO戦略     WT戦略

        ↑
      内部環境
それぞれの組み合わせから、具体的な戦略を考えます。

3.最も重要なのは「強み×機会」

まず考えたいのが、

S × O

自社の強みを、これから伸びる市場へぶつける戦略です。

売上向上を目的とするなら、非常に重要です。

具体例① 工務店

強み(S)

  • 窓工事が得意
  • 職人が自社にいる
  • 地域で施工実績が多い

機会(O)

  • 省エネ需要
  • 断熱への関心
  • 補助制度
  • 電気代上昇

これを組み合わせると、

「窓工事会社」

ではなく、

「地域の住宅省エネ・断熱改善に強い会社」

という戦略が考えられます。

そして、

  • 断熱診断
  • 窓改修
  • 玄関
  • 補助制度の案内
  • 工事後の効果確認

まで商品化します。

SWOT分析が、実際の商品戦略へ変わりました。


4.「強み×脅威」で守りながら攻める

S × T

自社の強みを使って、外部の脅威へ対応します。

具体例② 製造業

脅威(T)

海外製品との価格競争。

強み(S)

小ロット・短納期・難加工への対応力。

ここで海外企業と価格競争をする必要はありません。

むしろ、

「大量生産品は追わない。短納期の試作や難加工へ集中する」

という戦略を取ります。

これは前回のVRIO分析ともつながります。

競合と同じ土俵で戦うのではなく、

自社の強みが生きる市場へ戦う場所を変えるのです。


5.「弱み×機会」は投資判断に使う

W × O

市場にはチャンスがあるのに、自社の弱みが邪魔をしている状態です。

具体例③ 地域の飲食店

機会(O)

観光客が増えている。

弱み(W)

  • ホームページがない
  • Googleマップ情報が古い
  • SNSを使っていない
  • 外国語メニューがない

料理を変える必要はありません。

まず、

  • Googleビジネスプロフィール
  • Instagram
  • 写真
  • メニュー情報
  • Web予約

を整備します。

つまり、SWOT分析から、「何に投資すれば売上機会を取り込めるか」が見えてきます。


6.「弱み×脅威」は撤退や縮小も考える

W × T

これは最も注意が必要な領域です。

例えば小売店

弱み(W)

  • 店主が高齢
  • 後継者がいない
  • EC対応できていない

脅威(T)

  • 人口減少
  • 大型店進出
  • ネット通販増加

この場合、「もっと頑張って売る」だけが戦略ではありません。

  • 商品を絞る
  • 店舗を縮小する
  • 他社と提携する
  • 事業承継する
  • 不採算事業から撤退する

という選択も経営戦略です。

やらないことを決めるのも戦略です。


7.SWOTとVRIOを組み合わせる

ここが中小企業診断士として、ぜひ実践してほしいところです。

前回のVRIOでは、「自社には何があるか」を分析しました。

今回のSWOTでは、「その強みを、どの市場で使うか」を考えます。

VRIO分析
「何で勝てるか」
       ↓
SWOT分析
「どこで使うか」
       ↓
商品・サービス
       ↓
ターゲット
       ↓
営業・マーケティング
       ↓
売上・利益
分析手法をバラバラに使わないことが重要です。

8.具体例④ 介護事業所

例えば、ある介護事業所を分析します。

Strength

  • ベテラン職員が多い
  • 認知症対応の経験が豊富
  • 家族対応の評判が良い

Weakness

  • 採用が弱い
  • ホームページが古い

Opportunity

  • 地域の高齢化
  • 在宅介護需要の増加

Threat

  • 介護人材不足
  • 大手事業者の進出

ここから、

S×O

認知症ケアと家族支援を強く打ち出す。

W×O

ホームページを改修し、実際の支援内容を発信する。

S×T

ベテランのノウハウを教育体系にして、若手育成へ活用する。

という具体策が出てきます。

一枚のSWOT表から、商品戦略・Web戦略・人材戦略までつながりました。


9.機会を探すときは「変化」を見る

Opportunityを考えるとき、「何か良いことはないか」と考えても、なかなか出てきません。

そこで私は、世の中の変化から考えることをおすすめします。

例えば、

  • 人口構造
  • 法改正
  • 補助金
  • AI
  • DX
  • 物価
  • 人手不足
  • 高齢化
  • インバウンド
  • 環境・省エネ
  • 消費者行動

です。

重要なのは、変化そのものに良い・悪いはないということです。

例えば人手不足は脅威ですが、省力化システムを販売する会社にとっては大きな機会です。


10.SWOT分析でよくある失敗

失敗① 項目を大量に書く

20個、30個書いても実行できません。

重要なものを3~5個程度に絞ります。

失敗② 抽象的すぎる

「技術力が高い」ではなく、

他社が断る○○加工を3日以内に試作できる

まで具体化します。

失敗③ 弱みを全部直そうとする

中小企業には資源が限られています。

弱みを全部平均点にするより、

強みをさらに伸ばした方がよい場合があります。

失敗④ 分析して満足する

最終的に、

誰が・何を・いつまでに行うか

まで決めます。


11.SWOTから「売上向上策」を3つ作る

分析後は、戦略を大量に作らないことをおすすめします。

まず3つに絞ります。

例えば、

売上向上策①

既存の強みを使って、新しい顧客層へ進出する。

売上向上策②

既存顧客へ、新しいサービスを販売する。

売上向上策③

弱かったWeb・営業を改善し、強みを市場へ伝える。

そして、

戦略
 ↓
具体策
 ↓
担当者
 ↓
期限
 ↓
数値目標
まで落とします。

中小企業診断士の視点

SWOT分析をするとき、私は「弱み」以上に機会(O)を重視します。

なぜなら、昨日まで売れなかった商品が、外部環境の変化によって突然必要になることがある

からです。

AI、法改正、人手不足、高齢化、省エネなど、環境変化の中には必ず新しい需要があります。

そこで、「世の中の変化 × 自社の強み」を考えます。

これが、新規事業や売上向上のヒントになります。


ワンストップ君のワンポイント

🐶 「強みを見つけたら、次は“どこで使えば一番売れるか”を考えよう!」

強みを持っているだけでは売上になりません。

市場の変化と結び付けて初めて、経営戦略になります。


すぐできる実践ワーク

まず、それぞれ3つだけ書いてください。

SWOT 自社の場合
S 強み ①___ ②___ ③___
W 弱み ①___ ②___ ③___
O 機会 ①___ ②___ ③___
T 脅威 ①___ ②___ ③___

次に、

S × O

「自社の強みを、これから伸びる市場へ使えないか?」


S × T

「強みを使って、脅威を避けられないか?」


W × O

「この弱みを改善すれば、どんな売上機会を取れるか?」


最後に、最も売上・利益への効果が大きいものを一つだけ選びます。


まとめ

SWOT分析は、自社をきれいに整理するための表ではありません。

外部環境の変化を見つける
        ↓
自社の強みと組み合わせる
        ↓
勝てる市場を選ぶ
        ↓
具体策を決める
        ↓
担当者・期限・数値目標
        ↓
実行
        ↓
売上・利益・事業発展
前回のVRIO分析で**「何で勝つか」**を考え、

今回のSWOT分析で**「どこで勝つか」**を考えました。

この二つを組み合わせるだけでも、経営戦略はかなり具体的になります。


次回予告 第3回

「競合より安く」は戦略ではない

~ポーターの競争戦略で、自社が戦う場所を決める~

次回は、

コスト・リーダーシップ、差別化、集中戦略

を中小企業向けに分かりやすく取り上げます。

特に、

大企業と同じ市場で戦わない

「誰にでも売る」をやめる

狭い市場で圧倒的に強くなる

という、中小企業に非常に重要な考え方を、工務店・製造業・介護・飲食店などの具体例で説明します。

第2回の要点 経営への活用
SWOT 強み・弱み・機会・脅威を整理する
クロスSWOT 分析結果を戦略へ変える
S×O 強みを成長市場へ投入する
S×T 強みを使って脅威を回避する
W×O 弱みを改善して市場機会を取る
VRIOとの連携 「何で勝つか」から「どこで勝つか」へ
最終目的 具体策・担当者・期限・数値目標まで決め、売上・利益につなげる

« »

ツールバーへスキップ