はじめに
「価格競争から抜け出したい」「他社との違いをお客様に伝えられない」
「品質には自信があるのに、結局価格で比較されてしまう」
中小企業の経営相談で、このような悩みをよく耳にします。
その原因は、商品が悪いからではありません。「自社の強みが、お客様に伝わっていない」ことが多いのです。
そこで重要になるのがブランドです。
ブランドというと、高級ブランドや有名企業を思い浮かべるかもしれません。
しかし、本来のブランドとは、「お客様の頭の中にできる会社のイメージ」のことです。
そして、そのブランドを支えるのが中小企業診断士がよく使う
VRIO分析
という考え方です。
ブランドとは何か
ブランドとはロゴではありません。ホームページでもありません。おしゃれなデザインでもありません。
ブランドとは「〇〇なら、この会社」とお客様に思い出してもらえる状態です。
例えば
- 相続なら○○税理士
- 外壁塗装なら○○工務店
- 老人ホームなら○○
- 障害福祉なら○○
- 精密加工なら○○
このように、ある分野で第一想起されることがブランドです。
図解①
ブランド
↓
信頼
↓
安心
↓
比較されにくい
↓
価格競争から抜ける
ブランドがある会社は何が違うのか
ブランド企業は「一番安い」から選ばれているわけではありません。
例えば美容室。A店「カット3,000円」
B店「くせ毛専門」価格はB店の方が高くても、くせ毛で悩む人はB店へ行きます。
なぜでしょう。それは自分の悩みを理解してくれると感じるからです。
これがブランドです。
中小企業が勝つには「何でも屋」をやめる
中小企業診断士試験でも学ぶ差別化集中戦略があります。
これは「すべてのお客様」ではなく特定の市場で一番になる戦略です。
例えば
悪い例
建設工事なら何でもできます。
↓
誰にも覚えてもらえない。
良い例
医院専門リフォーム
↓
病院経営者に強く印象が残る。
士業なら
「税理士です」より「社会福祉法人専門税理士」「医療法人専門」「建設業専門」の方がブランドになります。
図解②
何でもできます
↓
特徴がない
↓
価格比較
得意分野を絞る
↓
専門家になる
↓
紹介が増える
VRIO分析とは
ここから中小企業診断士らしい内容になります。
会社には「強み」があります。
しかし強みだと思っていても実は競争力になっていない場合があります。
そこで使うのがVRIO分析です。
V
Value(価値)
その強みはお客様に価値がありますか?
例えば「創業40年」だけでは価値ではありません。
しかし「創業40年間、介護施設だけを300件支援」なら価値になります。
R
Rarity(希少性)
他社も同じことができますか?例えば税理士資格だけなら全国に山ほどいます。
しかし税理士社労士行政書士中小企業診断士4資格を持つ事務所は多くありません。
これは希少性になります。
I
Imitability(模倣困難性)
簡単に真似できますか?例えばホームページは真似できます。
価格も真似できます。しかし長年積み上げた口コミ 顧客との信頼
地域での評判 経験 ノウハウ これらは簡単には真似できません。
O
Organization(組織)
せっかく強みがあっても 社員全員が活かせなければ意味がありません。
例えば 所長だけが知識を持っていても職員へ共有されていなければ会社全体の強みにはなりません。
図解③
強み
↓
Value
↓
Rarity
↓
Imitability
↓
Organization
↓
本当の競争優位
具体例①
工務店
強み「職人歴30年」だけでは弱い。
VRIOで考えると
V
雨漏りを確実に直せる
R
地域でも数少ない
I
経験は真似できない
O
若手へ教育している
↓
ブランドになる。
具体例②
飲食店
「料理がおいしい」だけでは差別化になりません。
しかし
・地元野菜だけ使用
・農家直送
・アレルギー対応
・管理栄養士監修
これらが組み合わされると
他店との差別化になります。
具体例③
士業
例えば税理士事務所なら
単なる税務ではありません。
VRIOで考えてみます。
Value
税務 労務 行政 経営 をワンストップで相談できる。
Rarity
税理士 社労士 行政書士 中小企業診断士
4資格。さらに社会福祉法人 医療 介護 建設 外国人支援 まで対応。
かなり希少です。
Imitability
長年の実績。 地域での口コミ。専門知識。AI活用。
簡単には真似できません。
Organization
スタッフ教育 DX AI活用 チェック体制 情報共有
これらができれば 組織として強みになります。
つまりブランドになります。
ブランドは積み重ねでできる
ブランドは広告費では買えません。
毎日の積み重ねです。
例えば
・時間を守る
・約束を守る
・返信が早い
・説明が分かりやすい
・紹介が多い
・口コミ返信を丁寧に行う
こうした地道な積み重ねがブランドになります。地道にコツコツ積み上げていくことが肝心で
一足飛びにブランドというのは形成されるものではないのです。
AI時代ほどブランドが重要
AIは、ホームページもチラシも文章も作れます。
つまり誰でも似たような情報発信ができます。
だからこそ最後に選ばれるのは会社そのものです。
図解④
AI
↓
情報は誰でも作れる
↓
違いがなくなる
↓
ブランドが重要になる
↓
信頼が競争力になる
中小企業診断士からの実践アドバイス
経営者へ私は必ず次の質問をします。
お客様は「なぜ御社を選んでいる」のでしょうか。
価格ですか?立地ですか?紹介ですか?技術ですか?人柄ですか?
この答えがブランドになります。
ワンストップ君のワンポイント
🐶
「ブランドは会社が決めるものじゃないよ。お客様が決めるものなんだ!」
ロゴではなく、「○○ならこの会社」と思ってもらえることがブランドです。
実践ワーク
自社のVRIO分析
| 項目 | 自社の内容 |
|---|---|
| Value | お客様へどんな価値を提供しているか |
| Rarity | 他社には少ない強みは何か |
| Imitability | 真似されにくいものは何か |
| Organization | 社員全員で活かせているか |
ブランドチェック
次の質問へ答えてください。
□ 何が専門なのか一言で言える
□ 価格以外の強みがある
□ 紹介が多い
□ 口コミに共通点がある
□ 得意分野が明確
□ ホームページで強みが伝わる
□ 社員全員が同じ説明をできる
□ 強みをAIでは真似できない
チェックが多いほど
ブランドが育っています。
今日のまとめ
ブランドとは
高級ブランドではありません。
「この会社なら安心」と思い出してもらうことです。
そのためにはVRIO分析で本当の強みを見つけ、差別化集中戦略によって得意分野を明確にすることが重要です。
強みを見つける
↓
VRIO分析
↓
差別化する
↓
ブランドになる
↓
価格競争から抜ける
↓
紹介・リピートが増える
だからこそ、真似できない強みと信頼の積み重ねが、企業の最大のブランド資産になります。




