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不動産管理会社のリスク

不動産管理会社のリスク

最も古くからある相続税対策としての不動産活用
現金で持っていれば100%の評価ですが
賃貸住宅にすると
①貸家建付地となるので借地権割合×借家権割合0.3が評価減される
宅地の価格ー(1-その宅地の自用地としての価格ー借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
②建物は固定資産税評価額とされるので実際の建築原価より6割ほどの評価となる
また借家権割合として30%控除される
③ひもつきの債務は現金と同様債務価格で債務控除される
④居住用賃貸なら固定資産税評価が6分の1となる
⑤さらに不動産物件を所有する管理会社の利用も考えられる
以上のことより相続税の評価が下がるメリットもありますが
慎重にやらないとこれからの超高齢化社会日本においてはアパートは建てたものの入居者が見つからない
借金が返せなくなり債務超過になる恐れもあるので、よくよく投資をする際には慎重にシミレーションが必要になります。
 現在では、居住用アパートが過剰になりつつあり、その他の投資も考えられます。
 今後賃貸住宅市場である生産人口、その後の予備軍である年少人口ともに大きく減少し空き室率は最高22%まで増加していくというデータもあります。
 今回の相続税法の改正により特に都市圏内(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心に相続対策の賃貸住宅の建設が増加し、不動産融資、建設業者の後押しもあり過剰状態になりつつあります。
 現在の住宅ストック数からしても総世帯数より15%多く過剰状態なのです。
 一方高齢者人口は2038年をピークに2割近く増加しピーク時には施設、病院のベッド数では到底足りないため在宅介護、在宅看護が今後の政府の推奨する形となっています。
そんな社会環境を考慮に入れると遊休地利用として考えられるのは、太陽光発電事業、サービス付高齢者住宅、ケアホーム、空家を利用した小規模多機能型介護施設などがあげられます。
 ここで不動産管理会社のメリットデメリットを整理してみます。

不動産管理会社メリット
★法人の実効税率29%と個人の所得税率の差(分岐点課税所得900万)
★高収益の不動産物件の収益を家族に分散 株主は子供
★管理会社なら収入は7%ほどサブリース会社15%ほどが上限目安
★建物保有会社にすれば家賃は100%法人に移せる
★相続税上土地は20%減評価される
★小規模企業共済、経営セーフティ共済 法人で退職金のための保険加入可能
★株式を少しずつ贈与できる
★退職金、相続納税 建物修繕のための保険に節税をかねて加入できる 
★不動産物件共有をさけ相続争いをさける

不動産管理会社デメリット
★社会保険負担が生じる(逆にメリットと考えることもできる)
★経理負担が増加
★建物法人土地被相続人の場合貸家建付け地の評価にならず20%評価減
★3年以内の建物譲渡の場合時価で建物の株式評価は時価
★税務リスクあり

不動産管理会社の税務調査ポイント
★管理業形態の場合管理業務委託契約書
★サブリース契約の場合建物一括賃貸契約書
★入居者の契約相手を不動産管理会社とする
★管理料、借り上げ料が適正か
★役員報酬(親族)
★管理実態 業務内容(入居者募集業務、除草、清掃、点検、修理 苦情処理 不払い催促
退去時確認 賃貸借契約交渉 書類作成 緊急対応 鍵保管 建物防犯 通信

不動産管理会社はサブリース契約などにすれば、所得分散ができると安易に思うと危険です。
判決例で所得税法37条により必要経費性を否認され管理料0とされた例もあります。(同族会社に支払った不動産の管理料について、
所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条《必要経費》により、その全額の必要経費算
入を認めなかった事例(平成13年分~平成15年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平18-06-13裁決)

この事例では、①本件不動産管理会社の管理業務とされる定期的な清掃業務等は、別途、M社等の不動産管理会社に委託している管理業務と同一の
ものであり、M社等において本来の業務として行われていることから、当該管理業務を本件不動産管理会社に委託する客観的必要性は認められないこと
②本件賃貸不動産の敷地内の看板には、M社等の社名が明示されており、本件不動産管理会社が賃借人及び第三者の窓口等となっている事実は認められないこと、③本件不動産管理会社においては、管理
業務を実施した記録がなく、同社が管理業務を実施したことを客観的に認めるに足る証拠は認められないことなどからすれば、同社が本件賃貸不動産に係る管理業務を行ったことを認めることはできない。
 したがって、請求人が本件不動産管理会社に委託した業務は、いずれも請求人の不動産所得を生ずべき業務遂行上の必要性が認められず、また、本件不動産管理会社が管理委託契約に基づく業務について履行したことを客観的に認めるに足る証拠も認められないことから、本件管理料のうち、請求人の所得税法第37条第1項に規定する不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、零円とすることが相当などの理由からで通常管理会社の必要経費の否認は通常同族会社の行為否認の条文で行われるのですが所得税法37条の必要経費性をもって否認されたので注意をすべき例です。
 
ただ会社にお金を通すだけではだめということなのでしょう。
一番リスクがないのは建物だけでも法人のものにすることでしょう。

運営のポイント
役員、株主は子供とする。
被相続人に対して借入金などをつくらないようにする
減価償却のある程度進んだ収益性の高い物件を法人所有にする
借入金のない物件がベターだが借入を引き継ぐこともできるようにする
資本金は1000万以下とする。 消費税の還付ができる物件の場合は課税事業を選択も検討
個別対応方式か一括比例配分方式かシミレーション
簡易課税制度は第6種
調整対象固定資産 高額特定資産に注意
決算期を個人とずらす 6月
建物売却時の消費税に注意

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