運送業の許可を取りたい方へ|最初に確認すべき7つのポイント
「トラック運送業を始めたいけれど、許可を取るには何が必要なの?」
このようなご相談を、私たちの事務所でも数多くいただきます。一般貨物自動車運送事業の許可は、国土交通省(関東運輸局)への申請が必要ですが、許可基準が非常に細かく、役所の公開資料を読んでもなかなか全体像がつかみにくいのが実情です。
そこで今回は、運送業の許可取得を検討されている経営者の皆さまに向けて、最初の段階で必ず確認しておくべき7つのポイントを、できるだけわかりやすくまとめました。
ポイント1:資金は十分にありますか?
許可を取るうえで、最初にして最大のハードルが「資金」です。
2025年の改正により、所要資金の計算期間がこれまでの6ヶ月分から1年分に変更されました。車両費、建物費、土地費、保険料、各種税、そして人件費・燃料費などの運転資金(6ヶ月分)をすべて合算した金額が「所要資金」となります。
目安としては2,000万円〜3,000万円程度が必要になるケースが多いです。そして重要なのは、この金額以上の自己資金(原則として預貯金)が申請日から許可が下りるまで、常に口座に確保されている必要がある点です。途中で残高が下回ると許可が下りませんので、資金繰りの計画は慎重に立てる必要があります。
ポイント2:人の確保はできていますか?
運送業の許可には、ドライバーだけでなく3つの専門職の確保が求められます。
まず運行管理者です。営業所ごとに常勤で配置する必要があり、運行管理者試験の合格者か、実務経験5年以上で講習を5回以上受けた方が該当します。次に整備管理者で、自動車整備士(3級以上)の資格をお持ちの方か、整備の実務経験が2年以上ある方が対象です。そして当然ながら、事業計画に見合った人数の運転者を確保できる見込みが必要です。
これらの方が「いつ確保できるのか」は、申請のスケジュールに直結しますので、早めの人材計画が大切です。
ポイント3:場所の要件を満たしていますか?
営業所・車庫・休憩施設の3つについて、それぞれ細かい要件があります。
営業所は、都市計画法上の用途地域に注意が必要です。市街化区域内であっても、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域では原則として営業所を設置できません。また、プレハブやユニットハウスでも営業所として認められる場合がありますが、駐車場など建築物のない場所に新たに設置する場合は建築確認の手続きが必要になることがあります。
車庫は、原則として営業所に併設することが求められます。併設できない場合でも、営業所からの直線距離が10km以内(東京都特別区・横浜市・川崎市は20km以内)であれば認められます。また、車両と車庫の境界、車両同士の間隔がそれぞれ50cm以上確保され、すべての車両を収容できる面積が必要です。前面道路の幅員が車両制限令に抵触しないことも確認しておきましょう。
休憩施設は、営業所または車庫に併設するのが原則です。睡眠施設が必要な場合は、乗務員1人あたり2.5平方メートル以上の広さが求められます。休憩室と睡眠室を区分する場合は、パーティション等での仕切りも認められています。
ポイント4:車両は5台以上ありますか?
営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置することが必要です。購入済みの車両だけでなく、リース車両でも構いませんが、リースの場合は概ね1年以上の契約が求められます。なお、けん引車と被けん引車のセットは「1両」として数えます。
霊柩運送や一般廃棄物運送など特殊な事業の場合は、5両未満でも許可を受けられる特例がありますが、業務範囲に制限が付されます。
ポイント5:法令試験に合格できますか?
許可申請後、申請者(法人の場合は常勤役員のうち1名)が法令試験を受験する必要があります。貨物自動車運送事業法をはじめとする関連法令の知識が問われます。不合格の場合の再試験は1回限りですので、しっかりとした準備が欠かせません。
あわせて、申請者や役員が欠格事由に該当しないかも確認してください。過去に運送業法違反で処分を受けた方や、許可取消しを受けた法人の当時の役員だった方などが該当します。相談役や顧問など、実質的に経営に関与している方も対象になる点にご注意ください。
ポイント6:保険の準備はできていますか?
自賠責保険への加入はもちろんのこと、任意保険についても具体的な基準があります。対人賠償は被害者1名あたり無制限、対物賠償は1事故あたり200万円以上の保険に加入する計画が必要です。事業用自動車100両以下の事業者には、この任意保険への加入が実質的に義務づけられています。
危険物を運送する場合は、それに対応する賠償責任保険への加入も別途必要となります。
ポイント7:許可後のスケジュールも把握していますか?
許可が下りたら終わりではありません。許可日から1年以内に運輸を開始しなければ、許可が取り消される可能性があります。運輸開始前には、運行管理者・整備管理者の選任届の提出、社会保険等への加入、確認報告の実施が必要です。
さらに、運輸開始後1〜3ヶ月以内には、適正化事業指導員による巡回指導も行われます。ここで改善が見られない場合は、運輸支局による監査が実施されることもありますので、開業後の体制づくりも計画的に進めておくことが大切です。
まずは「自分のケースでは何が必要か」を整理することから
上記の7つのポイントは、あくまでも代表的な確認事項です。実際の許可申請では、営業所や車庫の所在地による個別の事情、車両の種類や台数による資金計画の違いなど、お一人おひとり状況が異なります。
当事務所では、運送業の許可申請をご検討の方に向けて、許可基準の全53項目を網羅したヒアリングシートをご用意しています。このシートを使って現状を整理していただくことで、「今すぐ申請できるのか」「何が足りないのか」が明確になります。
「まだ漠然と考えている段階」でもまったく問題ありません。 むしろ、早い段階でご相談いただくことで、資金の準備期間や人材の確保に余裕を持って取り組んでいただけます。初回のご相談は無料で承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください
