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05月

パワーハラスメントとは

都道府県労働局に寄せられる労働相談はずっと圧倒的に「解雇」が一位であったが2012年以降「いじめ・嫌がらせ」が一位いなっている。

 いじめ・嫌がらせには同僚内のものもあるし、いざ社会に出たらたとえば親会社、取引先など何らかの地位に基づき理不尽な過大な要求、悪口 、誹謗中傷などを受けることもあるだろう

俗にいう下請けいじめだ。 仕事は対等な立場でやるべきだと思うのだがどんどん日本はお金を払う人がもらう人に尊大になりつつあり無理な要求を突き付けてくるケースが増えている。

 お客様は神様なのか

ただしここではパワーハラスメントの意義に立ち返り、上司等が職制上の地位から部下に行うハラスメントについて具体的な例をあげてみる。

 〇身体的な攻撃→ 胸倉をつかむ 物を投げる 暴行 所有物への攻撃 威圧的態度 身の危険を感じさせる行為 

 〇精神的な攻撃→ バカ、アホ 無能などの暴言 お前なんてやめてしまえ 退職強要発言 過度な口出し ささいなミスを大声で叱責 同僚の目の前で過度に叱責 陰口 悪口の流布 性格人格攻撃

 〇人間関係からの切り離し

 〇過大な要求→事実上不可能な指示を与える 些細なことをしつこく許さず解明させる 達成不可能なノルマ

 〇過少な要求→仕事を与えない 明らかに単純な仕事しか与えない 草むしり 掃除 書類整理

 〇個の侵害→ 個人攻撃 特徴、病気、障害。年齢など 私生活への干渉 人格攻撃

 〇経済的攻撃 一方的な降格 賃金引下げ  

 パワハラという言葉自体平成以降使われるようになったもので昭和世代ならこれくらい当たり前に言われていたということも「パワハラ」として処理されることが今の時代だ。

 概して今の若い世代は「打たれ弱い」傾向にあるため上記な例によらなくても本当に仕事上の注意でも自分のミスが多くても精神的に参ってしまいメンタルになりすべて会社のせいにしてパワハラを持ち出すケースも
ままある。
 そういうケースと本当に例示したパワハラのケースの見極めが一番難しいマターであろう。

 いつの間にか人を支配し、下に思い、思うが儘に命令できるということが無理な要求につながっていないか 感情的になっていないかよく考え 部下を指導するときは個別にする配慮などがこれからの時代必要だろう。

 そういえば私の修行中なんて面と向かって所長から「バカ」とか言いたい放題だったな。 それでも資格を取るまではと臥床心胆我慢したものだった。 また上司から部下へのいじめではなく仲間同志や

 下から上への根拠のない誹謗中傷なんていうのもあった。 人を雇ったり事業を経営するというのは理不尽との闘い。

 社会人としてある程度の忍耐、働く上での当然の受容力というのも少しずつ失われているのではないかと思う。
 個人的には 今はスタッフには「叱責」はしない しないと決めてる。 ただしミスは繰り返してほしくないから注意はする。 別に甘やかすわけではないが自分がやられて嫌なことはやるべきではないと思うのだ。

ついついカン違いしやすい賃金・労働時間

働き方改革の閣議決定も決まり、超高齢化社会に向けて長時間労働の規制 女性や高齢者(外国人も?)などへの労働参加、非正規の正規化 AI,ロボットなどによる労働生産性向上 同一労働同一賃金 インターバル制度や副業、自宅勤務など様々な旗振りをしなければ
日本の労働人口の減少はひっ迫してます。
労基署の調査も残業80H超えているような長時間労働削減がポイント もちろん労働者の申告や業務災害などがあった場合も調査などに赴くのですがなんせ監督官の数が少なく税務調査ほどは人が回れない状態です。

 労働問題については自分のHPにQ&A方式で書いていますが良くカン違いされがちな点を書いてみたいと思います。

 〇年俸制なら残業はいらない? → 年俸制というのは主に成果主義により1年間の年俸を決めてそれを12等分(賞与もありなら14等分)して払うシステムと一般的に言われていて主に残業などがつかない管理監督者に
適用されることが多いようです。 年俸制にしたから深夜や休日割増を出さないというのは誤りで、管理監督者でなければ残業代も基本払わなくてはなりません。 最初から〇時間の残業代を含むような契約であればよいのですが
残業代回避のために安易に使われ、未払残業を請求されるケースも出ています。

 〇事業場外労働ならみなし労働時間でOK→ほとんど外回り営業などで労働時間を所定労働時間働いたものとみなすという規定がありますが、使用者の管理監督ができない&労働時間把握ができない&指示ができない
というのが条件、常に携帯電話などで報告したり指示を受けているようなケースや労働時間を把握することが可能なケースはあてはまらず残業代を請求されているケースもあるので注意です

 〇固定残業代を払えばOK? →固定残業代を導入する場合は最初に何時間分の残業代か(もちろん1,25倍 農業などのように労基法対象外は1倍)そのきめられた残業時間を超えたら残業代を払う 決められた残業時間働かなくても残業代を固定で払うという
   3つの条件がそろってないとなりません。 労働時間管理も楽ですし残業代に残業代はつかないため割と最近増えてきていますがハローワークなどでも何時間分の残業か詳しく聞くようになっているのであまり労働者には受けが良くないような気がします。

 〇残業時間のカウントは15分単位でしている→毎日の残業時間を15分、30分単位で計算しているのは原則違反となります。 毎月の残業時間を合計して30分未満切り捨てという処理は認められます。

 〇休日出勤をしても代休を与えれば大丈夫? 休日労働したから代わりに休ませる代休は休日割増が発生します。事前に平日を休日として振り返る予定を組んでおく(1週間以内)振替休日なら割増は発生しません。

 〇午前有給 午後残業は残業代でる? →1日あたり8時間を超えなければ残業代を出す必要はありません。遅刻をしたケースなども同様です。

 

従業員の資格取得は費用になるの

  
  人手不足、売り手市場の今、例えば大型免許の取得費用を採用したら負担するとか看護師等の資格取得費用、宅建などの資格取得費用、
建設業の許可要件にもなるような職種別資格の取得費用などについては福利厚生費で処理できると思います。(立替処理をしていない場合は支出時の損金)

 通常の労働者が職務に関連して取得する資格等の費用を事業主が負担しても給与課税はされず、福利厚生費として処理される通達があります。

学資金であっても給与その他対価の性質を有するものは非課税とされないが(所法9 ①十四かっこ書き)、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当 該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若 しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費 用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り 、課税しなくて差し支えないこととしている(所基通9-15)。

 よくあるのは看護師などの資格取得などのための学費を貸付金として負担資格取得後一定年度働いたら免除するというもの。 ただし貸与の時点では支出時の損金としては認められない裁決事例があります
債務免除時に課税扱いしなくても良いが立替時には経費化がその実態によりできないということです。

 これについては同じように医師確保症例奨学金の債務免除、無利息の経済的利益は給与所得課税 利息は雑所得とされるという旨の国税真理課インフォメーションがあります。

 看護師は原則として独立せずその事業所でその資格を役立たせるためと理解され、医師等は学校に行かせるという通例もなく、独立できるということことが理由なようです。

同じように税理士など独立資格を取るための学費を事業所が払っても、独立資格の場合は原則給与課税されます。(資格取得費用として給与に乗せているのがほとんどでは) 雇用人としての資格と独立資格では一線引いた方が良いかもしれません。

  

従業員の福利厚生 社員旅行 海外渡航費

 役員だけだと認められないケースもあるのですが従業員に対する費用は福利厚生として認められやすいもの。

 それでも給与課税されないものに社員旅行がよくあげられる。 だいたい会社負担で10万4泊5日以内が目安で海外旅行などで高額なもの一人当たり30万超などは否認された裁決もあります。
特に役員の場合役員賞与損金不算入になるわけで  また50%以上社員参加も条件です。 いかない人にお金をあげるとすべて給与課税されてしまうので注意
 その旅行に関係会社の人が入る場合交際費 働いていない家族などの場合は福利厚生費にならず給与課税されます。 

海外旅行となると今や国内より安いというところもあるのですが消費税を含めて税務調査ではよくみられるところです。
 
 研修旅行なら旅費交通費ですが同業者団体などの団体旅行 旅行業者あっせん団体旅行 観光ビザの研修旅行でないこと
研修と観光が分かれる場合は直接必要な部分は経費にできます。 

 国税庁法令解釈によると

1 海外渡航費に係る損金算入額又は必要経費算入額の算定に当たっては、次に掲げる事項を具体的に説明する書類その他参考となる資料に基づき、その法人又は個人の海外視察等の動機、参加者の役職、業務関連性等を十分検討する。

(1) 団体旅行の主催者、その名称、旅行目的、旅行日程、参加費用の額等その旅行の内容

(2) 参加者の氏名、役職、住所

(注) 上記(1)を説明する資料については、必要に応じ、団体旅行の主催者等の所在地を所轄する税務署又は国税局を通じて入手する等、事実関係の的確な把握に努める。

(損金算入額又は必要経費算入額の計算の方法)

2 同業者団体等が行う視察等のための団体による海外渡航については、課税上弊害のない限り、その旅行に通常要する費用(その旅行費用の総額のうちその旅行に通常必要であると認められる費用をいう。以下同じ。)の額に、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎とした損金又は必要経費算入の割合(以下「損金等算入割合」という。)を乗じて計算した金額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。
  ただし、次に揚げる場合には、それぞれ次による。

(1) その団体旅行に係る損金等算入割合が90%以上となる場合 その旅行に通常要する費用の額の全額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。

(2) その団体旅行に係る損金等算入割合が10%以下となる場合 その旅行に通常要する費用の額の全額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入しない。

(注) 海外渡航の参加者である使用人に対する給与と認められる費用は、給与として損金の額又は必要経費の額に算入する。
  ただし、個人の事業専従者に対して支給した給与とされるものの必要経費算入については、所得税法第57条第1項又は第3項の規定の適用がある。

(3) その海外渡航が業務遂行上直接必要であると認められる場合(「業務従事割合」が50%以上の場合に限る。) その旅行に通常要する費用の額を「往復の交通費の額(業務を遂行する場所までのものに限る。以下同じ。)」と「その他の費用の額」とに区分し、「その他の費用の額」に損金等算入割合を乗じて計算した金額と「往復の交通費の額」との合計額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。

(4) 参加者のうち別行動をとった者等個別事情のある者がいる場合 当該者については、個別事情を斟酌して業務従事割合の算定を行う。

(損金等算入割合)

3 上記2に定める「損金等算入割合」は、業務従事割合を10%単位で区分したものとするが、その区分に当たり業務従事割合の10%未満の端数については四捨五入する。

(業務従事割合)

4 上記2に定める「業務従事割合」は、旅行日程を「視察等(業務に従事したと認められる日数)」、「観光(観光を行ったと認められる日数)」、「旅行日」及び「その他」に区分し、次の算式により計算した割合とする。

(算式)
視察等の業務に従事したと認められる日数/(視察等の業務に従事したと認められる日数+観光を行ったと認められる日数)

(日数の区分)

5  業務従事割合の計算の基礎となる日数の区分は、おおむね次による。

(1) 日数区分の単位
日数の区分は、昼間の通常の業務時間(おむね8時間) を1.0 日としてその行動状況に応じ、おおむね0.25日を単位に算出する。ただし、夜間において業務に従事している場合には、これに係る日数を「視察等の業務に従事したと認められる日数」 に加算する。

(2) 視察等の日数
視察等の日数は、次に掲げるような視察等でその参加法人又は個人の業種業態、事業内容、事業計画等からみてその法人又は個人の業務上必要と認められるものに係る日数とする。

イ 工場、店舗等の視察、見学又は訪問

ロ 展示会、見本市等への参加又は見学

ハ 市場、流通機構等の調査研究等

ニ 国際会議への出席

ホ 海外セミナーへの参加

ヘ 同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談

(3) 観光の日数
観光の日数には、次に掲げるようなものに係る日数が含まれる。

イ 自由行動時間での私的な外出

ロ 観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問

ハ ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの

(4) 旅行日の日数
旅行日の日数は、原則として目的地までの往復及び移動に要した日数とするが、現地における移動日等の日数でその内容からみて「視察等の日数」又は「観光の日数」に含めることが相当と認められる日数(観光の日数に含めることが相当と認められる当該移動日等の日数で、土曜日又は日曜日等の休日の日数に含まれるものを除く。) は、それぞれの日数に含める。

(5) その他の日数
その他の日数は、次に掲げる日数とする。

イ  土曜日又は日曜日等の休日の日数((4)の旅行日の日数を除く。)。
 ただし、これらの日のうち業務に従事したと認められる日数は「視察等の日数」に含め、その旅行の日程からみて当該旅行のほとんどが観光と認められ、かつ、これらの日の前後の行動状況から一連の観光を行っていると認められるような場合には「観光の日数」に含める。

ロ 土曜日又は日曜日等の休日以外の日の日数のうち「視察等」、「観光」及び「旅行日」に区分されない休養、帰国準備等その他の部分の日数。

 

固定資産の取得価格に入るもの

 これは経費化できそうだけど固定資産の取得価格に含めなくてはいけないもの
入れなくても良いものとある。 土地の場合、不動産業者のように仕入れて売る場合などを除き費用化がなかなかできないものだ。

土地建物の取得価格に含めなくてはならないものとして
 〇仲介手数料=売った時は経費化できる(譲渡所得なら譲渡経費) 一方取得の場合は取得価格
 〇未経過固定資産税相当額として支払った金額→固定資産税の精算金は払った場合は土地建物の取得価格
 〇土地建物の取得の際にすでに紛争の総じている場合の紛争解決金(事後偶発的に起きたものを除く)
 〇土地建物を取得しおおむね1年以内に取り壊した建物の取得価格及び取り壊し費用は土地の取得価格(当初から建物等を取り壊して土地利用が目的のケースに限る)
 〇工場、マンション等の建設に対する住民対策費、日照 公害保障費等で当初から支出予定分(毎年支払うものを除く)は土地建物の取得価格

 特に土地建物同時に購入しその区分が明らかでない場合、契約書などでも不明な場合は固定資産税評価額などで合理的に按分するのが安心だろう
 平成27年6月1日採決TAINSによると一括落札した競売の土地建物の評価の区分を不動産鑑定士の鑑定評価の比にしたところ、それでは合理性がなく固定資産税評価の割合に修正するように
 審判所裁決がある。
 逆に売る場合は同族会社と役員などの場合時価で評価する根拠として不動産鑑定評価などは使えるのであろうが、取得の際の割合については使わない方が良いという判断になる。

 逆に取得価格に含めなくても良いものもある。
 〇不動産取得税、自動車取得税
 〇登録免許税
 〇契約を解除し、ほかの固定思案を取得する場合の違約金
 〇土地建物の取得の際の紛争解決金で事後偶発的に起きたもの
 〇落成記念費用 

 一方上水道の加入金は15年で減価償却 下水道などの負担金は繰延資産(通達6年 新設等の場合は15年)として償却します。

 また減価償却資産はいつから償却できるかというのも決算期末だと注意が必要です。
車などは車の登録をした日(車検証)の日付でいいのかという誤解もあるのですが
実際に引き渡されて事業供用できるようにならないと償却等できないので注意です。 もちろん支払だけ先にしても消費税の控除もできません。

 

修繕費と資本的支出

一般の人の考える「修繕費」と税務当局の考える「修繕費」とは少し範囲考え方が違うと思う。

 資本的支出というの税務用語であり。修繕費などとして費用処理せず、固定資産の取得価格に含めて減価償却により費用化するもの。
修繕費というのは原状回復なのだが、壊れたものを取り換える場合などこの資本的支出と修繕の境界が難しいものなのだ。

 具体的に平成11-12-21裁決より所得税において賃貸アパートの給排水工事取替費用(水漏れが多い)ものについて新しいものと交換したケースで古いもののを除却損
新しいものを給排水設備の資本的支出(資産に加える)という処分をした。
 このように税務の考え方は、「取替法」的なもので壊れたものを新しく取り換えるというケースで部品などなんら経済的価値が伴わない修理ならともかく
旧いものを除却し新しいものを取得したと考えるのだ。

 税務調査の場面でも調査官は金額の大きな修繕費用、リフォーム費用などには経済的価値が上がった、資本的支出と判断するケースが多い。
 例えば用途変更のため 事務所→店舗などの模様替え 避難階段など物理的に追加 機械など部品で性能の良いものに取り換えた場合を資本的支出としている。
 建物の増築はそもそも建物の取得
 
ただし修繕費に含まれるケースも金額の多寡によってあるものだ。 例えばただ間仕切りや機械などを撤去しただけの撤去費用
家屋 壁 屋根の塗り替え
畳の表替え
こわれた瓦の取り換え
陸屋根の雨漏り防水工事
ガラスふすましょうじなどの張り替え(壊れた部分)
LED電球取り替え
クロスの張替え
自動車のタイヤ交換
機械の移設
災害等による地盤沈下の原状回復 地もり
水はけをよくするための砂利 砕石等の敷設 補充(アスファルトにしてしまうと構築物)

また税務では3年以内定期のもの20万以下のものは修繕費として判断し、
資本的支出か修繕か明らかでないケースは60万未満なら修繕→は取得価格の10%以下なら修繕→70%を取得価格に30%を修繕費として継続適用 

TAINS会員したので過去の裁決判例などからテーマにそって定期的に税務情報更新

林税理士社労士事務所

民事信託と成年後見制度

今や65歳以上の4人に1人が軽度認知障害を含めると認知症になるといわれ認知症となってからの余命も長く(逆にストレスがなくなり余命も20年程と長くなるらしい)なっている時代で従来からある成年後見制度の代わりに注目されているのが民事信託を活用した制度です。
 それぞれの制度を認知症対策として考えてみます。
まず成年後見制度
 特に一定の財産がある親等が認知症になり成年後見制度(申し立ては配偶者や4親等以内の親族が家庭裁判所)を利用すると裁判所は親族とは別の後見監督人を選ぶため報酬が別途2-6万かかるうえに重要な財産処分は裁判所の許可が必要となり相続税対策などはできなくなります。
 法定後見人がいない場合など任意後見人を判断などが付かなくなる前に事前に公正証書で契約委任しますが、認知症になった場合その任意後見監督人を家庭裁判所が選任するためやは2人分の報酬を払うことになり、契約などの同意権や取消権がないという意味で信頼できる人に託さないとリスクがあります。

 一方民事信託を使うケースは財産所有者が委託者=受益者(通常受益者課税されるが委託者と同じなら課税なし)と設定し子供を受託者(信託契約を結ぶと所有権は移ります)とすることにより相続税対策などができ、委託者=受益者が認知症等になる前に信託契約で次の受益者の指定もできるため超高齢化社会の中注目されています。
 不動産などを信託財産とする場合、受益者を指定できるため親の存命中は委託者=受益者とし、受託者を長男  委託者死亡後受益者を子供全員とすることで賃貸物件を遺贈により取得したものとして相続税課税とすることにより小規模宅地の特例の適用が可能になるなどの対策がとれます。

 その他子供に障害や病気のあるものがいる 再婚などで次の相続まで指定したい場合(受益者連続型信託などによると次の受益者を定められる)など色々なケースで
信託契約を判断のある時にすることにより心配な死後のトラブルを防ぐこともできることもあります。
遺言書を書くのが相続にとって一番の遺産分割トラブル防止なのですが次の相続まではなかなか口をはさめないものですから
 民事信託は登記、信託の帳簿書類の作成 受益者別調書や信託の計算書を所轄税務署長に提出など士業の力がないとなかなかできないものです。
 受益者が信託期間中にいなくなってしまうと受託者の法人課税となり思わぬ重い課税関係となりますので信託設計には慎重な検討が必要です。

不動産管理会社のリスク

最も古くからある相続税対策としての不動産活用
現金で持っていれば100%の評価ですが
賃貸住宅にすると
①貸家建付地となるので借地権割合×借家権割合0.3が評価減される
宅地の価格ー(1-その宅地の自用地としての価格ー借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
②建物は固定資産税評価額とされるので実際の建築原価より6割ほどの評価となる
また借家権割合として30%控除される
③ひもつきの債務は現金と同様債務価格で債務控除される
④居住用賃貸なら固定資産税評価が6分の1となる
⑤さらに不動産物件を所有する管理会社の利用も考えられる
以上のことより相続税の評価が下がるメリットもありますが
慎重にやらないとこれからの超高齢化社会日本においてはアパートは建てたものの入居者が見つからない
借金が返せなくなり債務超過になる恐れもあるので、よくよく投資をする際には慎重にシミレーションが必要になります。
 現在では、居住用アパートが過剰になりつつあり、その他の投資も考えられます。
 今後賃貸住宅市場である生産人口、その後の予備軍である年少人口ともに大きく減少し空き室率は最高22%まで増加していくというデータもあります。
 今回の相続税法の改正により特に都市圏内(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心に相続対策の賃貸住宅の建設が増加し、不動産融資、建設業者の後押しもあり過剰状態になりつつあります。
 現在の住宅ストック数からしても総世帯数より15%多く過剰状態なのです。
 一方高齢者人口は2038年をピークに2割近く増加しピーク時には施設、病院のベッド数では到底足りないため在宅介護、在宅看護が今後の政府の推奨する形となっています。
そんな社会環境を考慮に入れると遊休地利用として考えられるのは、太陽光発電事業、サービス付高齢者住宅、ケアホーム、空家を利用した小規模多機能型介護施設などがあげられます。
 ここで不動産管理会社のメリットデメリットを整理してみます。

不動産管理会社メリット
★法人の実効税率29%と個人の所得税率の差(分岐点課税所得900万)
★高収益の不動産物件の収益を家族に分散 株主は子供
★管理会社なら収入は7%ほどサブリース会社15%ほどが上限目安
★建物保有会社にすれば家賃は100%法人に移せる
★相続税上土地は20%減評価される
★小規模企業共済、経営セーフティ共済 法人で退職金のための保険加入可能
★株式を少しずつ贈与できる
★退職金、相続納税 建物修繕のための保険に節税をかねて加入できる 
★不動産物件共有をさけ相続争いをさける

不動産管理会社デメリット
★社会保険負担が生じる(逆にメリットと考えることもできる)
★経理負担が増加
★建物法人土地被相続人の場合貸家建付け地の評価にならず20%評価減
★3年以内の建物譲渡の場合時価で建物の株式評価は時価
★税務リスクあり

不動産管理会社の税務調査ポイント
★管理業形態の場合管理業務委託契約書
★サブリース契約の場合建物一括賃貸契約書
★入居者の契約相手を不動産管理会社とする
★管理料、借り上げ料が適正か
★役員報酬(親族)
★管理実態 業務内容(入居者募集業務、除草、清掃、点検、修理 苦情処理 不払い催促
退去時確認 賃貸借契約交渉 書類作成 緊急対応 鍵保管 建物防犯 通信

不動産管理会社はサブリース契約などにすれば、所得分散ができると安易に思うと危険です。
判決例で所得税法37条により必要経費性を否認され管理料0とされた例もあります。(同族会社に支払った不動産の管理料について、
所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条《必要経費》により、その全額の必要経費算
入を認めなかった事例(平成13年分~平成15年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平18-06-13裁決)

この事例では、①本件不動産管理会社の管理業務とされる定期的な清掃業務等は、別途、M社等の不動産管理会社に委託している管理業務と同一の
ものであり、M社等において本来の業務として行われていることから、当該管理業務を本件不動産管理会社に委託する客観的必要性は認められないこと
②本件賃貸不動産の敷地内の看板には、M社等の社名が明示されており、本件不動産管理会社が賃借人及び第三者の窓口等となっている事実は認められないこと、③本件不動産管理会社においては、管理
業務を実施した記録がなく、同社が管理業務を実施したことを客観的に認めるに足る証拠は認められないことなどからすれば、同社が本件賃貸不動産に係る管理業務を行ったことを認めることはできない。
 したがって、請求人が本件不動産管理会社に委託した業務は、いずれも請求人の不動産所得を生ずべき業務遂行上の必要性が認められず、また、本件不動産管理会社が管理委託契約に基づく業務について履行したことを客観的に認めるに足る証拠も認められないことから、本件管理料のうち、請求人の所得税法第37条第1項に規定する不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、零円とすることが相当などの理由からで通常管理会社の必要経費の否認は通常同族会社の行為否認の条文で行われるのですが所得税法37条の必要経費性をもって否認されたので注意をすべき例です。
 
ただ会社にお金を通すだけではだめということなのでしょう。
一番リスクがないのは建物だけでも法人のものにすることでしょう。

運営のポイント
役員、株主は子供とする。
被相続人に対して借入金などをつくらないようにする
減価償却のある程度進んだ収益性の高い物件を法人所有にする
借入金のない物件がベターだが借入を引き継ぐこともできるようにする
資本金は1000万以下とする。 消費税の還付ができる物件の場合は課税事業を選択も検討
個別対応方式か一括比例配分方式かシミレーション
簡易課税制度は第6種
調整対象固定資産 高額特定資産に注意
決算期を個人とずらす 6月
建物売却時の消費税に注意

労働問題になる前に

一度労働問題などが発生すると経営者も仕事どころじゃないほど悩み時間がかかり大変なことになる。
労働問題は相続同様おこってからでは対処がほぼないに等しい。

労働問題
解雇 解雇はできれば避けたい。 必ず労働者から退職届をもらうようにお客さんには話をしています。それくらい日本の労働法関連においては労働者の解雇が認められないし
たいてい使用者側が負けてしまうからです。 解雇・セクハラ・パワハラは民事不介入のため通常労働基準監督署では取扱いません。
労働局の調停 労働審判 弁護士 ユニオンなどが相手になります。

それでもどうしても解雇をしても認められるケースも中にはあります。
まず就業規則の整備が肝心です。
就業規則に解雇と退職事由 懲戒事由は必ずきちんと定めておくべきです。
ただし5日以上の無断欠勤と定めたとしても労働基準監督署の解雇予告除外認定の基準の14日位にしておいたほうがよいでしょう。
労働基準監督署解雇除外認定基準を記載しますと
労働者の責めに帰すべき事由として認定すべき事例を挙げれば、(イ)原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取横領、障害等の刑法犯に該当する行為のあった場合
(ロ)賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
(ハ)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
(ニ)他の事業へ転職した場合
(ホ)原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
(ヘ)出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合
の如くであるが、必ずしも上の個々の例示に拘泥することなく、総合的かっ実質的に判断すること とあります。

 未払賃金
これも就業規則こと賃金規定の整備が肝心です。
未払残業代は労働基準監督署も確かな証拠を求めて未払残業の支払う是正勧告を出すことができます。
1か月単位の変形労働時間制などで忙しい日に残業をしても他の日で調整をするようなシステム導入
固定残業制
きちんとタイムカードなどで労働時間は管理しましょう。 仕事が終わってもだらだら残っている時間を残業としないように規定します。
むやみな残業稼ぎを防ぐため残業は許可制にするのもよいかもしれません。

セクハラ・パワハラ
今はやりのセクハラ・パワハラです。
セクハラの場合は、言ったりした本人がそうは思ってなくても受けたほうがセクハラと感じたらセクハラとなってしまうので注意が必要です。
男性から女性だけでなく女性から男性へのセクハラも対象になります。
これも就業規則など整備し社内でセミナーなどで周知することが肝心です。

パワハラはセクハラと違い判断が非常に難しい分野です。 今の若者は打たれ弱いので上司が自分が言われたように強く職務上指導しただけで
パワハラと言われるケースも増えています。
職務上必要なものか
その人の個人攻撃 人格攻撃になっていないか
要するに職場のいじめになっていないか
そういったところが判断基準です。

本人提訴により訴えられるケースもあるのですが確かな証拠がないと難しいでしょう
逆にパワハラをしたと訴えられても周りの従業員がそういった事実はないことを証言してもらい本当にないなら調停などに出なくても取り下げてくれるでしょう。

 後は簡単に対決相手用の対策です。
監督署はすべて就業規則と労働法令から判断します。 以前は労働者が泣き付いても確たる証拠がないと受付なかったりしなかったのですが今はそうでもないようです。
解雇 ハラスメントなどは民事なので不介入で調停へ上げることが多いです。

〇労働局の調停
労働局の調停は第三者の元使用者と労働者との間に調停がされます。 通常無料で強制力はありません。(受けない事もできる)
使用者側に出る理由がなければ理由を説明して調停に応じないこともできます。 ここまでは弁護士などは必要ありません。
調停がされた場合(たいてい和解金)そこで終了ですが調停不調となると労働審判になるケースもあります。

〇労働審判
職業裁判官である労働審判官ろ民間出身の労働審判院で構成される労働審判委員会が今までの労働裁判(平均14か月)をスピーディに処理するため
3回縛り 期間はおおむね2か月半 訴訟よりコストが安い ただしここからは弁護士の手が必要となる

〇労働裁判 労働審判よりハードルが赤い 通常1年-2年以上かかる。 金銭的・精神的に負担が非常にかかる。 弁護士代も高い

〇弁護士による申し入れ  弁護士に相談した労働者の依頼により弁護士から申し入れのあるもの
こちらに非がなければ規則、経緯、証拠などを通してきちんと話をしましょう。

〇ユニオン
一番厄介かもしれません。 上記の弁護士同様和解金や未払残業代の何割かが報酬となるためかなり対応が難しいです。
建前上労働組合法上の団体交渉として入ってきます。
無視するとまずいです。
貸し会議室などで時間を区切り余計なことはしゃべらず慣れた弁護士さんとタッグを組んでやるべきでしょう。

 

保険と相続税

保険というのは生命保険会社は露骨には言わないが節税目的のケースが多い。

通常の将来の退職金目的の経営者保険なども今の全損タイプは最高の時に解約しても2-3割返戻金が減る。
よく保険会社(銀行ひも付き多し)が進めてくる保険などはたいていこういうタイプだ。
税務署に払うか保険会社が払うかどちらかという話だと思うのだが

税金を考慮すれば一番良い時に解約して100%以上戻る 解約時に退職金とぶつければOKというのがセールストーク
会社は生き物なので長い期間常に利益を出せるものではないので最終的には課税の繰延であるのだが保険もうまく使いたいものだ。
個人的には自分は税理士会共済の勧めで1年だけとある生保の代理店試験を受けさせられて代理店になったことがあったが1件も取れずに首になった。
やはり餅は餅屋だ。保険は信頼している保険屋さんから買うのが一番だしいつもそういう人を紹介するようにしている。
税理士事務所がマージン欲しさに保険を売るというのが嫌いだしスタッフにもそんな
負担は一切かけたくないのがポリシーだから

相続の分野においても保険の優位性はまだ残っている。
まず相続人を受取人にすれば法定相続人×500万の非課税枠は改正されず残っているので相続人3人なら1500万まで非課税
最低でもこの分位は保険に加入 高齢すぎたり病気で入れないケースでも変額個人年金保険等なら入れる保険も探せばあるのだ。

土地建物株式相場のない株など分けずらい財産しかない場合保険は有効な納税資金対策となる。
毎年110万ずつ渡すとお金を無駄使いしてしまうというのが心配な親なら一時所得タイプの保険も考えられる。
保険料を毎年贈与し支払者(子供)=受取人(子供)とするのだ。
最高税率の人でも50万を引いて2分の1課税になるのだから相続税の財産が大きい場合考慮すると良いかもしれない。

また会社経営者の場合は死亡退職金が法定相続人×500万の非課税の余地が同じく残っている。
会社が契約者である経営者保険で会社で退職金のための保険をかけ、死亡退職金を払えば会社にも個人にも非課税限度額があるため有利だ。

保険の中には死亡時に債務を保証してくれるものもある(保険料は逓減する)子孫に借金を残さない そういう意味では保険をうまく使いたい。
 

みなし役員 執行役員 使用人兼務役員

 通常の役員ですと一度決めた報酬が変更できず、事前確定給与の届け出(かなり煩雑リスク有)を出さないと賞与も出せないのですが、使用人兼務役員なら使用人相当分は賞与を出すことができます。

使用人兼務役員(部長 課長など使用人としての職制上の地位を持ちかつ常時使用人としての職務を有するもの)ただし代表取締役 常務 専務 〇担当などの重役 非常勤役員は対象外をいいます。
またみなし役員といって株主グループの第三位に入っている事(これらにより50%超えている支配)その役員の属しているグループで10%超え その役員の配偶者及び50%支配している親会社の所有割合が5%超え
てしまう役員も対象外となります。
 使用人兼務役員ならば使用人と同時期(ここ大事)に賞与を出すこともできますし、使用人と同じ基準で歩合給なども出せるのは以前も書いた通りですが社長の奥さんなどは経営に従事していると上記の株式要件から
みなし役員に当てはまってしまうので要注意です。(役員として登記していなくても)

 経営に従事というと具体的にどういうことかというと
売上仕入価格の決定権 取引先の選定 取引の決裁権
銀行融資などの資金調達 
重要な決定(人の採用、多額固定資産 リース契約)などの権利
取締役会出席 などがあげられるでしょう

逆にいうと青色事業専従者の場合は日中仕事をしていたらまず支払できませんが役員としてこのような職務経営に携わっているのなら非常勤役員として役員登記された配偶者は給与をもらうことができるわけです。

 今はやりの執行役員というのはどうでしょうか 執行役員とは会社法上では委員会設置会社の執行役です。
取締役でない執行役員というのは会社法上の役員ではないため原則役員とはいえないのですが上記みなし役員のようなケースですと税務上も役員扱いとなるでしょう

 以前分掌変更についての退職金リスクも書きましたが、従業員が役員になったケースも使用人であった期間に相当する退職金を払うことは可能です。
ただしこのケースは分割払いなどは避けた方が良いと思います。 通常の役員退職金などは金額も大きいため分割払いもある程度認められるのですが

はやし会計 029-886-4388
 

小規模宅地等の特例を使うには

 相続税の計算の際に「小規模宅地等の特例」があり。一定の場合8割当該土地の評価減が行われます。 要件が色々変わっていたり間違いやすい点もあるのでおさらいしてみます。
まず相続時精算課税などを受けた土地は対象外です。

★自宅ケース
被相続人等の居住の用に供された宅地等       330㎡まで80%評価減
条件
相続開始直前まで被相続人等の居住の用に供されていた
受ける人 配偶者は要件なし その他の親族相続開始から申告期限までその家屋に居住し宅地等を申告期限まで有している
また被相続人として同居していない親族は一時居住被相続人(転勤などです)、非居住相続人の配偶者がいなく、他の同居相続人が他にいなくかつ3年前に他に家を持たずその相続宅地を申告期限まで有すること
平成30年4月より最後の家なき子特例?が厳しくなります。
相続開始前3年以内に3親等以内の親族や経営している会社などが持っている家に住んでいたら適用外 持家あるなしの判定が夫婦から3親等以内の親族に 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有したものも除外

 これで孫に家なき子制度というのができなくなりました。
よくある対策で相続人親が不動産購入したもののそこに孫を住まわせて家なき子にする
すでに購入した相続人である子供が孫に贈与等してその相続人が家なき子となる。

家なき子制度(これは税理士会の通称です)あまり多くないかもしれませんが、見落とすと大きな損を相続人に与えてしまうので注意です。 経験上意外とあり、二次相続などで3年以上賃貸暮らしをしている子供などが当てはまります。
★事業用宅地のケース(個人事業主等)
貸付事業用宅地以外の宅地等   400㎡まで80%評価減
要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ保有しかつ事業を営んでいる事
   被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業のように供されていた宅地等で上記の要件を満たしている事(同居親族事業承継者のケース)

この場合、個人事業のように供されていた店舗、工場、倉庫などの敷地が該当します。 家賃をとってると貸付事業用宅地になってしまうので注意
貸付事業用宅地         200㎡まで50%評価減

★特定同族会社事業用宅地のケース(法人役員等)
貸付事業用宅地以外    400㎡まで80%評価減
要件 相続開始直前において被相続人および被相続人の親族が発行済み株式の総数または出資総額の50%超を有している法人(精算中のぞく)
   相続人が申告期限で役員で事業を引きついでいる
   ここのポイントは事業用宅地と違い家賃を法人からもらっていることです。 使用貸借だと該当しない
   資材置き場や青空駐車場では使えません(建物 構築物が必要)

貸付事業用(不動産賃貸業)の場合は500㎡まで50%評価減です。

役員給与を変えたいのだが

最近の判決で役員報酬が不相当に高額であるという判決がでた。

税務調査の場合金額を問題にすると個々の会社の状態、その役員の貢献度などもありなかかなこちらも伝家の宝刀を降り出しにくいものなのだが

不相当高額役員給与もそうなのだが課税庁がひそかに持っている類似法人の役員給与や平均給与データ 同一法人、類似業種など類似法人の最高額などを超える部分が否認などの

ケースがどうも釈然としない。 要するに売上、利益規模や貢献度などを加味しあまりにも多額だと否認される可能性があるので一概にこの金額までは安全というラインがつかみにくいのだ。

役員給与についてはあまりに高額にすると半分税金でもっていかれてしまうので法人税金との兼ね合いを考えて妥当なラインにしたいものだ。(今は法人の実効税率の方が低いケースが多い)

役員においても使用人兼務役員であれば、賞与は使用人相当額の労務の対価としてなら歩合給も含めて出せる(不相当に高額なのは×)

代表や一定の役員はそれはできず期首から3か月以内に変更をする必要がある。 末締め翌月10日払いなら4か月目の支払い日でもOK

議事録に変更などのケースは記載しておくべきでしょう。 特に病気は産休などで傷病手当金 出産手当金などをもらい役員報酬を無至急にするケースなどは臨時の議事録が必要だ。

社会保険の月額変更においても5等級以上の変更は議事録が添付となっている。

業績悪化なら1度は下げることができる?ともよく聞かれる。 単なる資金繰りの悪化ではダメで銀行の条件変更などの対外的な理由 著しい業績の悪化でないと認められないので注意だ。

 

 

相続税対策にブレーキ判決

平成29年5月23日判決で借入金で不動産を取得し相続税に係る財産を大幅に圧縮・節税したケースに対し「財産評価基本通達における評価は不相当 不動産鑑定評価に基づいて評価」

という判決が出た。

今の相続税対策ブーム(不動産業者、金融機関など一部それと組んでいる税理士ら)にとって警鐘ともいえよう。

まさかきちんと法律通りに評価して出した相続税申告書が否認されたというので驚きをもたらしている。

このケースは被相続人が銀行に事業承継(不動産賃貸売買管理会社?)を持ち孫の代まで事業承継をしたいと相続税の相談をA銀行にすることからスタート

まず21年に売主法人よりB土地建物を取得 その際A銀行に借入

相続人は妻C 長男D 長女E 次男F 次男の子(養子)G ここで養子Gに不動産を含む多くの財産を相続させる旨の公正証書遺言を作成

次に被相続人は長女Eから金銭消費貸借契約でお金を借りる

次に被相続人は妻Cからも金銭消費貸借契約でお金を借りる

21年被相続人はさらに売主である法人からC土地建物を購入

またA銀行からお金を借入

24年公正証書遺言で被相続人の財産の一部で遺産分割協議成立 長女E 長男D 養子Gが相続財産取得

養子Gは公正証書遺言により土地建物を取得しそれに係るA銀行債務 妻Cからの債務を相続承継債務として申告

相続後養子はB土地建物を買主である個人へ譲渡

A土地は小規模宅地等の特例があり 税務署はこの借入によってほかの相続財産の価格を減少させ合わせて債務を増加したことにより結果相続税が全くでない大幅圧縮になっていることに

着目 租税負担の公平を著しく害しということで伝家の宝刀財産評価基本通達6項を降り出したというわけだ。

土地建物の評価自体は相続税財産評価基本通達通りにやったにせよ相続前に相続税対策として借入を多額にし不動産を購入することという

相続税対策の王道を否認する今はやりの相続対策に警鐘をならすある意味怖い判決である。

銀行さん 不動産屋さんやりすぎ注意です

借入があるから相続税が減ると良くお客さんに聞かれますが、借入があればひも付きのお金がある それだけでは相続税は減りません。

そのお金で不動産を買うと劇的に?評価が下がるケースがあるためこの対策は良く使われます。

建物は固定資産税評価によるため買った直後に6-7割ぐらいの評価になるし

土地は相続税評価自体が時価の8割 そこに人に貸せば貸家建付地として評価が下がります。

土地の評価*(1-借地権割合*借家権割合×賃貸割合)

だかといって将来空き家率が3割になろうとするのに投資は相当慎重にすべきだと思います。

まあこのスキームはすぐにその不動産を売っぱらってしまい税務署に目をつけられたわけですが

 

 

 

相続税調査

相続税の調査の割合は通常の法人の調査割合5% 個人3%に比べると非常に高く4件に1件の割合で高額な場合まず来ると思っていた方が良いでしょう。
しかも追徴割合は8割を超え遺族に加算税も含めた多くの負担が及んでいるのが現状です。

まず調査官は申告後1年位すると自宅2人体制で行きお線香をあげた後
亡くなった方の職業人生、趣味 亡くなる前の病気などの状態
などを聞くでしょう。

この収入でこの生活ならこれぐらいの資産があるはずなのにないという場合の根拠となるため
または大きな不動産を売却したお金の行方、 前回で受け取った相続財などがある場合のお金の行方なども調べるでしょう。
オーナー会社の社長などの株式もそうなのですが税務署に出している申告書などから調べられるものはまず事前に調べてきます。
新しい事業承継税制ではたとえ不幸にして先代がお亡くなりになった後でも事業承継計画の届出を経済産業省に平成35年まで出していれば株式の納税猶予がすべて使えるようになりました。

経営革新支援機関である税理士(当事務所もそうです)と長い間の信頼関係のもとで作成提出すると良いと思います。
役員借入金などがある場合は生前のうちに整理しておきましょう。
趣味はゴルフ会員権や絵画など高額なものはないかの調査になります。
亡くなる前の病気の状態を聞くのは、それによって直前に下したお金の管理がだれがしていたかが
ポイントになります。 税務署は銀行調査ができますので被相続人相続人やその親族の銀行調査を10年やろうとすればできるので、税理士に過去の贈与も含めて
教えていただくことが大事です。 亡くなる直前に卸したお金は現預金にあげなくてはなりません。
相続税の調査では実は土地等の評価より名義預金、資産漏れが一番の重点調査項目です。
★名義預金にされてしまうケース→印鑑などが同一 預金通帳などの保管が名義人でない 名義人が預金、保険、その他資産を把握していない。 現金預金、株式などは名義だけ変えても名義的なものとされることが多い。 わざと110万を少し超える贈与税の申告などをするケースもあります。
★過去3年以内の贈与(相続人)については110万以内の贈与も相続税に加算して計算されます。
過去3年以内に贈与税の申告をした場合においても相続税に加算され支払った贈与税は控除されます。
過去3年以内に贈与をする場合は孫にやる場合はこの相続税の計算対象になりません。しかし孫が小さすぎる場合など、贈与としての実態がない場合名義預金とされる可能性があります。
贈与の実態:本人が通帳印鑑を保管し自由に使えるもの 贈与契約書で贈与者と贈与を受けるものの意思の確認
★調査については直前の通帳の動き及び親族(孫まで)の通帳を長ければ10年みられます。

本人も気が付かない名義預金 入金だけの通帳などありませんか
直前にお金が下せなくなるので大量におろしたお金は現金にあげなくてはいけません。
直前の本人の意思(税務調査では病気やなくなる前の症状も聞かれます)によっては遺族が勝手に
購入したものについて現金にあげる必要もあるのです。
相続財産に上げなくて良いものに仏壇、お墓などがあります。ただし骨董価値のあるものを除くとあるので注意です。
★また相続人が相続財産と把握しずらい財産が必ずあります。 契約者被保険者が相続人で負担者が
被相続人である生命保険に関する権利
農協などの建更 名義預金 名義保険 未登記不動産 金銭以外の資産(株、金、債権、ゴルフ会員権 骨董品 著名絵画 車

当事務所では、綿密なお聴き取り及び調査により、書面添付制度も実施しています。虚偽の内容を記載すれば懲戒処分となってしまう書面添付制度は税理士にとって命がけの制度でもあります。
しかしもれなく調査し確認し正しい相続税の申告をするならば書面添付制度により調査の省略の可能性も増えいざ書面添付による税理士に対する意見徴収による修正があったとしても加算税などはなしに修正することもできる制度です。

現在事業承継相談 相続相談を受け付けています。 どうぞお気軽にお問い合わせください。 http:tsuchiuratax.jp 029-886-4388

 

 

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